クリア樹脂

海岸で見つけられる「シーグラス」素敵ですよね。ガラスの破片が長い間波にもまれ角がすり減って表面がフロスト状になるあれです。私も子供の頃は、宝物のように持ち帰りました。柔らかく光を透過し反射もする、その不思議なマテリアルを手に取ってうっとりと眺めたものです。今回は工業製品に「シーグラス」を再現しちゃうお話しです。

西なすの
西なすの

特徴になるワンポイント✴が

ほしいです~

設計者
設計者

えーと、、、、

(やったこと無いからムズい)

デザインする対象は卓上で使うOA機器で、直径2センチくらいの円形のON/OFFボタンがついています。人さし指でカチッと押し込むタイプです。私はこのボタン部品を透明樹脂で成型し、通電によってボタン全体がフワッと光るというコンセプト提案をしました。過去類似の製品は筐体と同じ色の不透明樹脂ボタンで、ON/OFF状態表示はボタンの近くにLEDをはめ込んで分離して行っていましたから、ボタン自体が光るというケースは初めての試みです。

ボタン外観は一重の丸で非常にシンプルなデザインです。しかし、ユーザーからは見えない部分の機構設計は複雑で、担当者を悩ませ幾度となく試作を重ねました。

今回のポイント

1.ボタン全体が均一に、フワッと光ること(機能)

2.すりガラス表面の奥に宝石のようなエメラルドグリーンな美しさを感じること(情緒)

解決策

・ 部品厚は約2ミリ。ON/OFFは指で押し込むため素材にはバネのような柔らかさが必要。それに適したゴム成分含有のABSを使う。しかし、ゴム成分は素材色の黄みを強めるため、そのことを考慮した調色を行う。

・均一に光らせるために、光拡散を促す添加剤を樹脂に投入する。LEDはボタンから少し離れた場所にレイアウトし出力を調整する。

・ボタン表面はサンドブラスト処理ですりガラス風に加工。背面は機器の内部構造が透けて見えないないよう、シルク印刷で隠ぺい。印刷には鏡に近い高輝度のメタリックを用いて、キラキラの反射を促す。

試行錯誤の結果、とってもチャーミングなコンセプトの機器が完成しました。ボタンがシーグラス風ですよ!…もちろん、思い描いた理想100パーセント達成とはいきませんでしたが、この小さなボタンパーツに並々ならぬこだわりを貫けたこと、関係の皆さんには感謝しかありません。